【2026年度】ものづくり補助金が生まれ変わる?新事業進出補助金との統合で変わること・変わらないこと

「ものづくり補助金がなくなるらしい」──そんな話を耳にして、不安を感じた方もいるかもしれません。

結論から言えば、なくなるわけではありません。
2026年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」として生まれ変わる予定です。

ただ、名前が変わるだけの話ではありません。
申請の枠組みや補助上限額、そして審査で問われるポイントにも変化があります。

この記事では、統合で何が変わり、何が変わらないのかを整理します。
「自社はどの枠で申請すべきか」「今の公募に出すべきか、統合後を待つべきか」を判断する材料にしていただければ幸いです。

なお、本記事は2026年3月時点で公表されている中小企業庁の資料をもとに執筆しています。
統合後の公募要領はまだ公開されていないため、詳細は今後変更される可能性があります。
最新情報は中小企業庁の公式サイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/index.html)で必ずご確認ください。

目次

なぜ今、2つの補助金が1つになるのか

まず、そもそもなぜ統合されるのかを押さえておきましょう。

ものづくり補助金は、中小企業の設備投資を支援する制度として10年以上の歴史があります。
一方の新事業進出補助金は、2025年に新設された比較的新しい制度です。
事業再構築補助金の後継として、既存事業の枠を超えた新市場への進出を支援する目的で作られました。

この2つはそれぞれ異なる補助金として運用されてきましたが、目指す方向は共通しています。
それは「中小企業の付加価値を高め、賃上げにつなげる」ということです。

国の方針として、コロナ禍の「救済」フェーズは終わり、「成長する企業を重点的に後押しする」段階に入っています。
似た目的を持つ2つの制度を一本化し、企業の成長ストーリーを一つの体系で評価しようというのが、今回の統合の背景です。

統合後の制度は、省力化投資補助金も含めたパッケージとして、総額約2,960億円の予算規模で実施される見通しです(中小企業庁 2025年12月公表資料より)。

新しい3つの枠──それぞれ何が対象になるのか

統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」には、3つの申請枠が用意される予定です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

革新的新製品・サービス枠

旧ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」に相当する枠です。

既存事業をベースに、技術力や付加価値を大きく高める革新的な投資が対象になります。
たとえば、最新の加工機械を導入して、これまで受けられなかった精密加工の注文に対応できるようにする、といったケースです。

注意点として、単なる老朽設備の買い替えは対象になりません。
「新しい機械を入れて、何が変わるのか」を明確に示す必要があります。

補助率は中小企業で1/2、小規模事業者で2/3。
補助上限額は従業員規模に応じて750万円〜2,500万円程度となる見込みです。
大幅な賃上げを計画に盛り込むと上限が引き上がる特例もあります。

新事業進出枠

旧新事業進出補助金に相当する枠です。

既存事業とは異なる新しい市場への進出や、ビジネスモデルの転換を伴う取り組みが対象になります。
たとえば、自動車部品を作っていた会社が医療機器分野に参入する、といった大胆な事業展開です。

こちらは革新的新製品・サービス枠と比べて補助上限額が大きく、従業員規模に応じて最大7,000万円(大幅賃上げ特例で最大9,000万円)まで支援を受けられる見込みです。
そのぶん、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上という高い目標が求められます。

グローバル枠

海外市場の開拓や、輸出に向けた国内体制の強化を支援する枠です。

今回の統合で最も大きく変わるのが、このグローバル枠の補助上限額です。
旧制度では一律3,000万円(特例時4,000万円)でしたが、統合後は従業員規模に応じて最大7,000万円(特例時9,000万円)に引き上げられます。2倍以上の拡充です。

海外展開を視野に入れた設備投資や規格認証の対応など、大きな投資が必要なケースでも、現実的に補助金を活用できるようになります。

ただし、グローバル枠はこれまでも採択率が20%台と低く、審査のハードルは高い傾向にあります。
海外事業の実現可能性調査が必要になるなど、準備にも手間がかかる枠です。

結局、何が変わって何が変わらないのか

情報量が多いので、ここで整理しておきます。

変わること

一つ目は、「制度の入口が一本化される」ことです。
これまでは「設備投資ならものづくり補助金」「新事業なら新事業進出補助金」と、2つの制度から選ぶ形でした。
統合後は1つの補助金の中から自社に合った枠を選ぶことになります。

二つ目は、グローバル枠の補助上限が大幅に引き上がることです。
海外展開を考えている企業にとっては、大きな追い風になります。

三つ目は、審査で求められる視点が変わる可能性があることです。
統合前は「何をやるか」で制度を選べましたが、統合後は「なぜその投資をするのか」「その投資がどう成長につながるのか」という一貫したストーリーが、より重視されると考えられます。

変わらないこと

補助率と補助上限額の基本的な水準は、旧制度と同程度が維持される見込みです。
革新的新製品・サービス枠は旧ものづくり補助金と同水準、新事業進出枠は旧新事業進出補助金と同水準です。

賃上げ要件も継続されます。給与支給総額や事業所内最低賃金に関する目標設定は、引き続き必要になるでしょう。

また、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要であることや、電子申請(Jグランツ)のみでの受付であることも変わりません。

「今の公募に出す」か「統合後を待つ」か

「統合後の制度を待ったほうがいいのでは」と考える方もいるかもしれません。ここは悩みどころです。

2026年3月時点で動いている現行制度の公募は、以下のとおりです。

・ものづくり補助金 第23次公募:締切2026年5月8日
・新事業進出補助金 第3回公募:締切2026年3月26日(第4回公募も実施予定)

統合後の新制度は、現行の公募が終わった後に公募が始まる見通しです。
時期としては2026年夏以降になると予想されていますが、正式な発表はまだありません。

ここで私がお伝えしたいのは、「要件に合うなら、現行制度で早めに出すほうが得策」ということです。

理由はシンプルです。統合後は審査基準や要件が変わる可能性があります。
現行制度の要件にマッチしているなら、ルールが明確な今のうちに申請するほうが確実です。
統合を待っている間に投資のタイミングを逃してしまっては本末転倒です。

一方、「今すぐの設備投資は考えていないが、来年度以降に大きな投資を計画している」という場合は、統合後の制度を待つ選択もあります。
特にグローバル枠は補助上限が大幅に上がるため、海外展開を見据えた投資を計画中なら、新制度のほうが有利になる可能性があります。

いずれにしても、公募要領が出てから慌てて準備を始めるのでは間に合いません。

まとめ──今からできる備え

今回の統合は、ものづくり補助金がなくなるという話ではありません。
中小企業の成長投資を、一つの制度で総合的に支援するための前向きな再編です。

変わるのは、制度の入口と、審査で求められる視点。
変わらないのは、補助率や補助上限の基本水準と、賃上げ要件です。

今からできることを一つ挙げるなら、「自社の投資計画を、枠の選択肢に当てはめて整理しておくこと」です。

今ある技術を磨いて新しい製品を作りたいのか。
まったく新しい市場に打って出たいのか。海外に販路を広げたいのか。この方向性がはっきりしていれば、どの枠で申請すべきかは自然と見えてきます。

補助金は「もらうためのお金」ではなく、「自社の成長を加速させるための手段」です。制度が変わる今だからこそ、改めて自社の事業の方向性を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

※補助金の採択を保証するものではありません。申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認ください。

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