【後継者・経営者向け】零細企業の新規事業が失敗しない5つの考え方

「そろそろ新しいことに挑戦したい」「このままでは先細りだ」
そう感じて新規事業を考え始める経営者は少なくありません。
私自身も、家業を引き継ぐなかで何度も同じことを考えてきました。

ただ、新規事業は始め方を間違えると、本業の体力まで削ってしまいます。

この記事では、零細・中小企業が新規事業で失敗しないための5つの考え方を、順を追って整理します。
読み終えたとき、「まず何から手をつければいいか」がはっきりするはずです。

目次

考え方1:「誰もやっていない事業」はかえって危ない

新規事業と聞くと、つい「世界初」「業界初」といった言葉に惹かれます。誰もやっていないからチャンスだ、と感じるのは自然なことです。

しかし、誰もやっていないことには、たいてい理由があります。そもそも市場が存在しないか、事業として成り立たないか、どちらかであることが多いのです。

新しすぎる事業は、市場に受け入れられるまでに長い時間がかかります。そして、ようやく芽が出た頃に、資金力のある大企業が参入してくる。最初に苦労した会社が、いちばん得をしにくい構図です。

「誰もやっていないからチャンス」ではなく「誰もやっていないから危ない」。まずはこの視点を持つことをおすすめします。

考え方2:新規事業は「自社が未経験の事業」と考える

ではどう考えればいいのか。私のおすすめは、新規事業を「世の中にとって新しい事業」ではなく「自社がやったことのない事業」と捉え直すことです。

すでに世の中に存在していて、需要もある。
けれど自分の会社ではまだ手をつけていない。このくらいの距離感が、中小企業にはちょうどよいと考えています。

理由は、新しい市場を一からつくるには、大きな体力が必要だからです。
商品を知ってもらう広告費、最初の「売れない期間」を耐える資金、社員を教育する時間。
これらは大企業だからこそ負担できるものです。

零細企業に、新しい市場を独力でつくる余力はありません。
見栄を張らず、戦う場所を選ぶ。ここを冷静に判断できるかどうかが分かれ目になります。

考え方3:最初にお金を使わない——投資は後回しでいい

新規事業を始めると決めると、すぐに設備を入れたくなります。
在庫を仕入れたり、人を雇ったりしたくもなります。動き出した実感がほしいからです。

しかし、まだ売れるかどうかわからないものに先にお金を投じるのは、最も避けたい進め方です。
多くの会社が、この順番を間違えて資金を失ってきました。

そこで私がおすすめするのは、「最初にお金を使わない」を自分のルールにすることです。

具体的には、設備投資や仕入れの判断は、需要が確認できるまで保留します。まずは手元でできることから小さく試す。お金を使うのは、「これは売れる」という手応えを得たあとで十分です。

考え方4:商品の提案より先に「困りごと」を聞く

お金を使わずに何から始めるか。私が大切だと考えているのは、まず顧客との接点をつくり、ニーズを確かめることです。

ここで重要なのは、最初から商品の話をしないことです。「こういう商品はいりませんか」と切り出すと、結局は「つくってから売る」という、避けたかった順番に戻ってしまいます。

そうではなく、「いま何か困っていることはありますか」から聞く。困りごとを先に知り、そこから本当のニーズを探る。順番を逆にするだけで、見えてくるものが変わります。

もう一つ補足します。ここでいう顧客は、いまの取引先に限る必要はありません。

もちろん、既存の取引先が新事業の顧客にもなってくれるなら理想的です。すでに信頼関係があるからです。

ただ、そこにこだわりすぎる必要はありません。新規事業である以上、いまの取引先が新しい事業の客とは限らないからです。

それよりも、新しく始めたい事業の顧客が、自分の身の回りにいるかどうかを確かめてください。
友人、知人の会社、前職のつながりでも構いません。「それ欲しい」と言ってくれそうな相手が手の届く範囲にいるなら、そこから始めます。

もし身の回りに一人も思い当たらないなら、それは立ち止まって考え直す合図かもしれません。

理想は、その相手と一緒に商品をつくっていくことです。
顧客が「欲しい」と言ったものをつくるのですから、大きく外すことはありません。

顧客を増やすのも、焦らず一人ずつで十分です。最初から100人を集めようとせず、まず1人に本気で向き合う。
地味な作業ですが、この段階に耐えられるかどうかが、その後を大きく左右します。

考え方5:差別化は設計せず、顧客との接点から育てる

最後は、いちばん肩の力が抜ける考え方です。

新規事業を考えるとき、多くの人が「自社だけの強み」「他社にない差別化」を最初にひねり出そうとします。けれど、それを無理に用意する必要はありません。

誰もが思いつくような、ありふれたアイデアから始めて構わないのです。

顧客と接し続けるうちに、「うちはこれが得意かもしれない」「ここを喜んでもらえる」という発見が少しずつ生まれます。その積み重ねが、気づいたときには自社だけの強みになっています。

差別化とは、最初に設計するものではなく、あとから育つものだと私は考えています。

まとめ:設備を考える前に、お客さんに会いに行く

新規事業は、華やかなアイデア探しから始めるものではありません。失敗を避けるカギは、進める順番にあります。

今日お伝えした5つの考え方を、最後に整理します。

・「誰もやっていない事業」はかえって危ない
・新規事業は「自社が未経験の事業」と考える
・最初にお金を使わず、投資は後回しにする
・商品の提案より先に「困りごと」を聞く
・差別化は設計せず、顧客との接点から育てる

明日からできることを一つだけ挙げるなら、新規事業のアイデアが浮かんだ人は、設備を考える前に、まずお客さんに会いに行ってください。それだけで、失敗の半分は避けられるはずです。

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