「これはいけるかもしれない」と思える新規事業のアイデアが、頭の中にある。でも、まだ誰にも話していない。
そんな状態が続いていないでしょうか。
人に話すのは、正直こわいものです。こんな内容で大丈夫なのか。穴だらけではないか。鼻で笑われないか。
そう考えると、つい口を閉ざしてしまいます。
この記事では、なぜアイデアを抱え込むと新規事業がうまくいかないのか、そしてどう進めればよいのかをお伝えします。
新規事業のアイデアを人に見せるのが、なぜこんなに怖いのか
新規事業のアイデアを人に話すのは、誰にとっても気恥ずかしいものです。
完璧でない状態を見せたくない。だから頭の中でこねくり回し、隙のない計画にしてから出そうとする。
その気持ちはよく分かります。
ただ、こういう人ほど、いつまでたっても何も世に出せません。理由は単純で、完璧になる日が来ないからです。
考えれば考えるほど、新しい不安が見つかります。そうしてアイデアは、頭の中に閉じ込められたままになります。
頭の中だけで完成する新規事業は存在しない
はっきり申し上げます。自分の頭の中だけで完結する新規事業は、ほとんどがうまくいきません。
理由は、お客さんの反応が一つも入っていないからです。それはアイデアではなく、ただの想像にすぎません。
私自身、家業で新しい取り組みを考えるとき、最初は一人で構想を練りがちでした。
しかし、いざ提案しても反応が薄い。自分が良いと思うものと、相手が求めるものが違っていたのです。
新規事業で最も危ないのは、需要を確かめる前にお金と時間をかけることです。多くの失敗が、ここから始まります。
作り込んだ後で「誰も欲しがらなかった」と気づくと、かけた費用も時間も取り返せません。
「相談する・出す・反応を見る・直す」を回し続ける
では、どうすればよいのか。答えはシンプルで、とにかく早く人に話すことです。
人に話す。反応を見る。少しだけ形にして出してみる。また反応を見る。直す。そしてまた出す。
この流れをひたすら繰り返します。一周ごとに、アイデアは現実に近づいていきます。
差別化や強みは、机の上で設計するものではありません。お客さんと向き合う中で、少しずつ見えてくるものです。
たとえば、思いついたサービスを知り合いの経営者3人に話すだけでも構いません。
「それなら欲しい」「いや、それより別の困りごとがある」という声が返ってきます。その一言が、次の一手を教えてくれます。
ここで大切なのは、相手に「どう思う?」と漠然と聞かないことです。
「これにお金を払いますか」「今は何で困っていますか」と具体的に尋ねます。
漠然とした感想は、たいてい本音ではありません。実際の困りごとや、お金を払う気があるかどうかにこそ、次のヒントが隠れています。
恥ずかしさを抑えるより、回す速さを優先する。それで十分です。
最初のアイデアが原形をとどめなくても、それでいい
ここが一番お伝えしたいところです。
このサイクルを回していると、最初のアイデアはどんどん変わっていきます。
最後には、当初考えていたものが原形をとどめていないこともあります。
しかし、それでいいのです。むしろ、そうなるのが自然な姿です。
最初のアイデアは、スタート地点であってゴールではありません。
お客さんに揉まれて変形したものこそ、本物の事業に育ちます。
完璧なアイデアを待っていると、永遠に何も始まりません。30点の段階で人に見せてよいのです。
30点のほうが直す余地が多く、伸びしろもあります。
後継者が新規事業を出すときの、もう一つのこわさ
後継者の場合、もう一つ特有のこわさがあります。先代や古参の社員の目です。
「先代がつくった事業があるのに、なぜ新しいことを」と思われないか。失敗したら「だから若いやつは」と言われないか。そう考えると、ますます言い出しにくくなります。
ただ、ここでも対処法は同じです。完成形をいきなり提案するのではなく、小さな相談として持ちかけることです。
「こういうことを考えているのですが、どう思いますか」と先代に聞いてみる。
すると、長年の経験から思わぬ落とし穴を指摘してもらえることがあります。
新規事業を一人で背負い込む必要はありません。先代や社員を巻き込むほど、社内の理解は得やすくなります。
まずは一人に話すことから始める
新規事業は、頭の中で温め続けても前に進みません。お客さんや周りの人の反応を取り込みながら、少しずつ形を変えていくものです。
明日、誰か一人でいいので、あなたのアイデアを話してみてください。社員でも、友人でも、家族でも構いません。
その一人の「へえ」や「それは難しいかも」という反応が、次に進むための材料になります。
恥ずかしくて頭の中にしまったアイデアは、明日も明後日も出てこないままです。出すなら、穴だらけの今日からで構いません。

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