SWOT分析や3C分析。名前は聞いたことがあるけれど、一度もちゃんと書いたことがない。
そういう経営者や後継者の方は多いと思います。
正直に言えば、フレームワークはめんどくさいものです。
四角い箱がいくつも並んでいて、そこを埋めていく。
あの図を見るだけで気が重くなる気持ちは、私もよくわかります。
それでも最近、考えが変わりました。
この記事では、フレームワークがなぜ「めんどくさいけれど書いたほうがいい」のか、その理由を2つに絞ってお伝えします。
フレームワークは確かにめんどくさい
まず大前提として、フレームワークはめんどくさいものです。ここは認めます。
なぜなら、頭の中ではもうわかっているからです。
うちの強みはこれで、弱みはこれで、お客様はこういう層で。だいたいのことは把握している。
それをわざわざ箱に書き出すのは、宿題のように感じられます。
私自身、長らくそう思っていました。「書かなくても頭に入っているからいい」と。
ところが、この「頭ではわかっている」という感覚こそが、一番あぶないのです。
「頭ではわかっている」が一番あぶない
頭の中の考えは、自分では完成しているように見えます。けれども、それはたいてい錯覚です。
人間の脳には、わかっている部分とわかっていない部分を、なめらかにつないで「全部わかっている感」をつくる働きがあります。考えがスカスカな箇所を、脳が勝手に埋めてしまうのです。
その結果、頭の中だけで考えていると、自分の考えの穴に気づけません。
気づかないまま「よし、いける」と走り出して、途中で「ここはどうするんだったか」と立ち止まることになります。
私も、何度もこれを経験しました。家業の常務として経営判断をする場面で、頭では決まっているつもりが、いざ進めると詰めの甘さが次々と出てくる。準備したつもりが、できていなかったのです。
書くと、自分の考えの穴が見える
ここでフレームワークの出番です。箱を埋めようとすると、埋められない箱が出てきます。
たとえば「自社の強み」の箱はすらすら書けるのに、「競合の強み」の箱で手が止まる。
止まった瞬間に気づきます。自分は競合のことを、実はちゃんと考えていなかった、と。
これがフレームワークの1つ目の効果です。自分の考えの、粒が粗いところがはっきり見える。
頭の中であれば脳が穴を埋めてくれますが、紙の上の空白は埋まりません。空白は空白のまま残り、こちらを見てきます。
その居心地の悪さこそが、考えていなかった場所を教えてくれるのです。
関係者と「同じ絵」を見ながら話せる
フレームワークには、もう1つ効果があります。場合によっては、こちらのほうが大事かもしれません。
会社の経営には、登場人物が多くいます。社長がいて、社員がいて、支援者がいて、金融機関がいる。
全員が「自社のこと」を語るのですが、全員が違う絵を思い浮かべながら話しています。
社長は昔の取引先を、社員は現場の作業を、金融機関は決算の数字を見ている。
同じ「うちの会社」の話をしているのに、頭の中の絵がばらばらなのです。これでは話が噛み合いません。
ここでフレームワークを一枚出すと、全員が同じ絵を見られます。
「ここが強みで、ここが課題ですよね」と、一枚の紙を指差しながら話せる。これがとても効きます。
口で説明すると相手の頭の中で勝手に解釈が変わりますが、目の前に同じ絵があれば、その変換が起きません。
共通の地図を広げてから話すようなものです。
ただし、フレームワークは絶対ではない
ここは強調しておきたいのですが、フレームワークは絶対ではありません。
同じ会社を分析しても、書く人によって中身は変わります。時期が違えば「強み」が「弱み」に変わることもある。
だから「フレームワークに書いたから正解」とは、まったく言えません。
フレームワークを埋めること自体が目的になってしまう人も、たまにいます。
きれいに全部埋めて満足してしまう。気持ちはわかります。埋まると達成感がありますから。
けれども、それでは宿題を提出して満足するのと変わりません。
フレームワークはあくまで道具であって、答えそのものではない。
ここを取り違えると、ただのめんどくさい作業に逆戻りしてしまいます。
それでも書いたほうがいい理由
絶対ではない。答えでもない。それなら要らないのでは、と思うかもしれません。
それでも、書いたほうがいいです。
理由は、ここまでお伝えした2つです。
自分の考えのスカスカな場所がわかること。
そして、他人と同じ絵を見ながら話せること。
この2つができるだけで、経営の現場のしんどさはだいぶ減ります。
自分の頭が整理され、社長や社員との話も噛み合いやすくなります。
完璧な分析でなくても構いません。雑でいいので一度書いて、人と一緒に見る。
それだけで十分に元が取れます。
まとめ:次の打ち合わせで一枚広げてみる
フレームワークはめんどくさいけれど、書いたほうがいい。
理由は、自分の考えの穴が見えることと、関係者と同じ絵を見ながら話せることでした。
明日からできることを1つだけ。次に社長や社員と何かを話すとき、紙でもホワイトボードでもいいので、フレームワークを一枚広げてから話してみてください。SWOTでも3Cでも、四角を4つ描くだけでも構いません。
同じ絵を見ながら話すだけで、噛み合い方が変わるのを実感できるはずです。

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