【後継者向け】漠然とした経営不安を行動に変える3つのステップ

家業に入ってから、夜中にふと目が覚めることが増えた──。そんな経験はないでしょうか。

「この会社、この先大丈夫なのだろうか」 「自分がここに来たのは正しかったのだろうか」

昼間は目の前の仕事に集中できます。けれど夜になると、こうした問いが際限なく広がっていく。
後継者として家業に入った方なら、一度は覚えがあるのではないかと思います。

私自身、26歳で家業に入りました。妻と、生まれたばかりの娘がいました。入社して初めて決算書をしっかり読んだとき、想像していた経営状態との差に言葉を失いました。家族の顔を見るたびに「この選択は正しかったのか」と自問する日々が続きました。

この記事では、当時の私がどうやってその不安を乗り越えたかをお伝えします。漠然とした不安を分解し、具体的な行動に変える3つのステップです。同じような夜を過ごしている後継者の方に、少しでも参考になればと思います。

目次

「よくわからないから怖い」──漠然とした不安が一番厄介な理由

後継者が抱える不安には、ある共通した特徴があります。正体がはっきりしないということです。

「なんとなくヤバい気がする」 「でも、何がどうなったらヤバいのか、自分でも説明できない」

この状態が一番厄介です。対処のしようがないからです。

課題がはっきりしていれば、人は動けます。売上が月100万円足りないなら、どこで100万円をつくるか考えればいい。取引先が1社離れそうなら、関係修復か新規開拓かを選べばいい。

けれど「なんとなく不安」には、打ち手がありません。不安だけが残り、それが日に日に大きくなっていく。

私もまさにその状態でした。何が怖いのかすら言語化できないまま、漠然とした焦りだけを抱えていました。

あるとき気づいたのは、この不安の正体は「わからないこと」そのものだということでした。経営の先行きが不透明なこと自体が、不安の原因だったのです。

であれば、やるべきことはひとつです。「わからない」を「わかる」に変えていく。そのために私が実践した方法を、3つのステップでお伝えします。

ステップ1:最悪のシナリオを具体的に書き出す

最初にやったのは、最悪の事態を具体的に想定することでした。

最悪とは何か。会社が倒産する。収入がなくなる。家族が困る。

ここで止まると、ただの恐怖です。大切なのは、ここからもう一歩踏み込むことです。

「倒産したとして、自分には何ができるだろうか」 「その時点で、自分の強みは何だろうか」 「その強みに対して、世の中はどの程度の評価をしてくれるだろうか」

漠然とした恐怖を、一つずつ具体的な問いに分解していきます。

すると、不安の輪郭が見えてきます。輪郭が見えれば、対策を考えられます。対策が見えれば、少し呼吸が楽になります。

紙でもスマホのメモでも構いません。頭の中にあるものを外に出す。それだけで「考えても仕方がない」と感じていたことが「考えれば答えが出せること」に変わります。

ステップ2:自分の市場価値を確認する

次に私がやったのは、転職エージェントに登録して面談することでした。

転職したかったわけではありません。自分の値段──つまり、今の経験やスキルが労働市場でどの程度評価されるのかを知りたかったのです。

面談で聞いたのは2つだけです。

「今の自分の経験・スキルだと、どのくらいの年収が見込めますか」 「今後どんな経験を積めば、市場価値が上がりますか」

結果を聞いて、少し安心しました。中小企業の経営に携わり、人の管理も数字の管理も担っている。その経験は、外から見るとそれなりの評価を受けるものでした。

渦中にいると気づきにくいものです。毎日必死にこなしているだけのことが、第三者から見ると「経営経験」として評価される。

さらに気づいたことがあります。経営経験が強みなら、それを客観的に証明できる資格を取れば、市場価値はさらに上がるということです。私の場合は中小企業診断士でした。勉強で得た知識は家業の経営にもそのまま活きています。仮に資格が取れなかったとしても、学んだ内容は無駄にならない。どちらに転んでも損をしない投資でした。

この「自分の市場価値を知る」という行為は、逃げの準備ではありません。最悪の事態でも大丈夫だと確認する作業です。

ステップ3:「最悪でも大丈夫」を土台にして攻める

最悪のシナリオを書き出し、自分の市場価値を確認する。この2つを経ると、ある変化が起きます。

「この道しかない」という追い詰められた感覚が薄れるのです。

私は今でも年に一度、転職エージェントと面談しています。転職するつもりはありません。それでも「今の自分にいくらの値段がつくか」を定期的に確認しておくと、経営判断に余裕が生まれます。

最悪でも大丈夫だと思えるから、リスクのある判断に踏み出せる。守りに入らずに済むから、やりたいことに挑戦できる。

不安をなくすことが目的ではありません。不安を、前に進むためのエネルギーに変えること。それがこの3つのステップの本質です。

まとめ:明日から試せる3つのこと

漠然とした不安を抱えたまま走り続けるのは、誰にとっても苦しいことです。
大切なのは、その不安を分解して、具体的な行動に変えることです。

まずは今日、この3つの中からひとつだけ試してみてください。

  1. 最悪のシナリオを紙に書き出す。そのとき自分に何ができるかも書く。
  2. 転職エージェントに登録して、自分の市場価値を聞いてみる。
  3. 市場価値を上げるために、今から始められることを一つ決める。

どれも大げさなことではありません。けれど、一歩踏み出すだけで「なんとなく不安」の輪郭は驚くほどはっきりします。

あなたが家業に向き合っているという事実は、それだけで大きな経験値です。まずはその経験値が、外の世界でどう評価されるのかを確認するところから始めてみてください。

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